後鳥羽上皇の水無瀬離宮の跡地にある官幣大社、水無瀬神宮。
神社内には環境庁から名水百選に選ばれた”離宮の水”がある。
家から自転車で数分の所でもあり、
飲み水、炊飯、お茶、そしてウイスキーの水割り用に週に二度ほど汲みに行く。
名水故にいつも大抵五、六人の先客あり、順番を待つ間、
見るとはなしに人のすることを見ている。
蛇口のある手水の所に来るのに、門前で一礼して来る人もあれば、直ぐ傍まで自転車で乗り付けただ只管に水汲みに専念する人もある。かと思へば皆に声を出して朝の挨拶をする人もある。
容器に入れる動作も、準備よく要領の良い人もいれば、本当に鈍な人もある。
中年の夫婦でも二人の息のあつた作業もあれば、入れ方で皆の面前で喧嘩を始める夫婦もあつて、
なかなか毎回楽しい。
大概の人は賽銭をあげることなく、先程のやうに無料の水を汲みにくるつもりの人が多く、
一目散に帰つていくが、中にはちゃんと傍の浄財入れに小銭をさり気無く入れる人もある。
不思議と前者は背中が曲がつているやうに見え、後者は背筋が伸びて見えるから面白い。
私は汲み終ると本殿で拝礼することにしているが、拝礼の後に後方に人気がしたので振り向くと
先程水汲みに一緒に並んでいた、保育園位の幼い女の子と若いお母さんの親子連れが、
少し後方で拝礼を待つていた。若いお母さんの心掛けに感服。清々しい気持ちになる。
今朝は昨日の雨で境内に出来た水溜りに、
つがいの鳩が行水をしていた。